平成13年9月に「債権管理回収業に関する特別措置法の一部を改正する法律」が施行され、金融機関が有している貸付金などの債権がRCC(整理回収機構)や民間の債権管理回収会社に売却(債権譲渡)できるようになりました。今月号では、このRCCについてご説明いたします。
1.不良債権処理
近年の景気低迷や株価の下落などで金融機関の不良債権処理能力は低下しており、金融機関が抱える不良債権の処理は遅々として進んでいません。 不良債権を処理する方法には、間接処理方法と直接処理方法があります。間接処理方法とは、貸出先企業の状況に応じて予め貸倒引当金を設定しておき、貸出先企業の倒産に備える方法です。この間接処理方法では、貸倒引当金を設定するだけで、不良債権額自体は金融機関に残ってしまいます。
一方、直接処理方法とは、1.不良債権を第三者に売却するA貸付金自体を棒引き(債権放棄)する2.貸出先企業を法的整理に持ち込む=倒産させるなどの形で処理し、不良債権自体を金融機関の帳簿(バランスシートの資産の部)から外すという方法です。
当初、政府は間接処理方法を採用し不良債権処理を進めていましたが、不良債権額が減らないことを海外から問題視され始めると、不良債権処理と企業再生を同時に進めるため、大手銀行に対し破綻懸念先以下の既存の不良債権を直接処理の方法で2年以内(新規発生分は3年以内)に処理するよう求めました。(図1)その具体的処理策は、金融機関に対する特別検査をより徹底し、不良債権の一層の洗い出しをさせることと、RCC(整理回収機構)の機能強化です。

2.RCC(整理回収機構)とは
RCCは、経営破綻した旧住宅金融専門会社(住専)の受け皿として設立された旧住宅金融債権管理機構を母体とする債権管理回収会社で、預金保険機構が全額出資している株式会社です。不良債権処理の一環として、RCCなどが破綻した金融機関の債権や健全な金融機関の有する破綻懸念先以下の不良債権を公的資金を使って買い受け、金融機関に代わって債務者(貸出先企業)から債権の回収を行います。
またRCCは金融機関から買い受けた不良債権を放棄したり、債務の株式化(注)などの方法を組み合わせ、企業の再生を積極的に進めていくという重要な役割も担っています。
RCCは公的資金(税金)を使って金融機関から不良債権を買い受けますが、買い受けた不良債権が最終的に処分されないまま残り、その価値が下がって損失が出ると、再び税金で穴埋めしなければならなくなります。これは健全な金融機関にただでお金を渡すのと同じで、公的資金の使い方として望ましいものではないといった問題点も指摘されています。
(注)債務の株式化とは、金融機関からの債務の一部を株式に切り替えて企業を再生する方法です。企業側は融資の返済負担と金利負担を減らせるとともに、資本の増強が図れます。一方、金融機関は企業が再建に成功すれば、融資を回収する以上の利益が期待できます。債務の株式化の方法には、債務を時価評価しその債務を株式に切り替える方法と企業が金融機関に第三者割当増資を行い、払込まれた資金で借入金を返済する方法があります。
3.借入れている企業側の対応
破綻した金融機関からの借入金が、債務者への通知とともにRCCへ売却され、担保の価値の見直しが行われた結果、RCCの返済条件に従い返済額を大幅に増加させられたり、競売を申し立てられたといった事例が報道されています。企業にとって、今まで取引がある金融機関とは違い、過去に全く取引のないRCCなどの債権回収を専門とする会社では、従来にない厳しい債権回収が行われることが考えられます。毎期確実に利益を確保することで、金融機関から「正常先債権」や「要注意先債権」と格付けされれば、RCCなどに債権譲渡されることを防止できます。利益の確保とともに経営者が金融機関に赴き、自社の毎月の試算表や資金繰り表などを提示し、経営者の事業に対する姿勢をアピールすることも必要になります。
金融機関も今までのように担保主義でお金を貸す時代ではなくなりました。毎期継続して利益を確保することが金融機関と良い取引を続け、自社を守る最善の策です。
会計ビッグバン〜時価会計〜
1997年の大手証券会社の破綻をきっかけに、企業の財務状況を開示する役割を持つ企業会計基準が、国際会計基準(グローバル・スタンダード)へ近づこうとしています。その流れが下記の表となっています。これら新会計基準は上場企業を中心に適用が開始されますが、将来的には中小同族会社であっても新会計基準に沿った情報開示が求められることになるでしょう。
今月号では、3月決算企業が多い中、最も注目を浴びている時価会計について考えてみます。
| 新たに導入された会計基準の内容 | 原則的な適用時期 | |
| 税効果会計 | ●税効果会計の適用 | 1999年4月1日以降開始する事業年度 |
| 連結財務諸表関係 | ●連結財務諸表中心のディスクロージャー
●連結範囲の拡大 ●親子会社間の会計処理の統一など |
1999年4月1日以降開始する事業年度 |
| キャッシュ・フロー計算書 | ●キャッシュフロー計算書の開示 | 1999年4月1日以降開始する事業年度 |
| 退職給付会計 | ●退職給付債務の時価評価に基づく会計処理への変更 | 2000年4月1日以降開始する事業年度 |
| 金融商品会計(時価会計) | ●有価証券など金融商品の時価評価の導入
●ゴルフ会員権の減損会計 ●貸倒引当金の設定厳格化 |
2000年4月1日以降開始する事業年度(一部は、2001年4月1日以降開始する事業年度から適用) |
| 販売用不動産 | ●販売用不動産等の強制評価減 | 2000年4月1日以降開始する事業年度 |
<資産の評価基準・時価>
財務諸表の一つである貸借対照表は、決算期末日現在の資産・負債及び資本の額を表わしています。この貸借対照表を見ることにより、その企業がどれだけの資産を所有していて、その資産と借入金とのバランスは良好なのかなど、企業の財務状況を判断することができます。しかし、その情報を信用して取引を始めたが、実際には貸借対照表に載っていた資産は借入金を補うだけの資産価値がまったく無かったとしたらどうでしょう。近年、バブル崩壊後この様な現象が相次ぎ日本企業の信用は低下し、特に海外から信用されなくなってしまいました。その原因の一つに、日本の企業会計基準が取得原価主義(※1)を採用してきたことにあります。そこで、2000年4月1日以降開始する事業年度の企業から、一部の資産を時価(※2)で表示する時価会計を導入するようになりました。
(※1)取得原価主義:取得した時に掛かった費用(原価)を資産価値として表示する方法で、物価の変動などによる含み益や含み損は影響させない方法を言います。
(※2)時価:一般的には市場価格を時価と言います。
実際に時価会計が導入されてもすべての資産・負債を時価に換算して貸借対照表を作成するのではなく、市場性のある一部の資産だけが時価会計の対象となります。
<時価会計の対象資産>
時価会計は正式名称を「金融商品会計」といい、その名前の通り時価会計の対象となる資産は、市場価格のある有価証券や債権など金融商品に限られています。さらに、金融商品の中でもその所有目的によって時価で評価するか否かが分かれます。
| 保有目的区分 | 市場価格の有無 | 評価基準 | |
| 売買目的有価証券 | 短期間の価格変動により利益を得ることを目的とする有価証券を指します。通常は、同一銘柄に対して相当程度の反復的な売買が行われる物を指します。 | 有 | 時 価 |
| 満期保有目的の債券 | 国債や社債など満期日があり、その満期日まで保有する目的で取得した物を指します。 | 有 | 償却原価 |
| 無 | 償却原価 | ||
| 子会社株式および関連会社株式 | 支配目的で保有する子会社の株式や関連会社の株式を指します。 | 有 | 取得原価 |
| 無 | 取得原価 | ||
| その他有価証券 | 上記区分のいずれにも該当しない有価証券を指します。この中には、いわゆる持ち合い株式が含まれ、最も多く分類される区分です。 | 有 | 時 価 |
| 無 | 取得原価又は償却原価 | ||
市場価格があったとしても「子会社および関連会社の株式」は、その企業を支配することを目的に長期的に株式を所有するため、市場価格により資産価額を変動させる時価会計には適さないとし、取得原価主義のままとなっています。「子会社および関連会社の株式」以外の市場性のある株式を短期売買目的又は投機目的で所有している場合は「売買目的有価証券」又は「その他有価証券」に該当し、今後、時価で貸借対照表上に表示しなくてはなりません。しかし、時価で評価した際の評価損益は実際に得た利益等ではないため、損益計算書へ影響させないようになっています。
来月号では、その取得価額と時価との差額がどのように表示されるのかを説明して行きます。
前回までは社内不正についての様々を勉強してきました。今回からは新たな勉強の始まりです。
友達「こんにちは。我社も社内不正を未然に防ぐためのシステム作りが順 調に進んでいますよ。」 先輩「それは良かった。ところで今日はどうしたのかな?」 友達「確か、先輩の会計事務所は保険の代理店もやっていましたよね?近 いうちに私も含め我社の従業員も保険に加入しようと思っているの ですが、どんな保険に加入したら良いのか全く分からないんですよ 。そこで、勉強しに来ました。」 先輩「なるほど。まずは、次の質問に答えてくれるかい? 1何の目的で 加入しますか? 2誰が加入しますか? 3保障はいくらつけます か?」 友達「えっ、1は万一の保障、2は役員と従業員、3は全然分からないで すね。」 先輩「保険加入について簡単に考えすぎているようだね。君のように企業 経営者は保険の目的や保障額について無関心な人が結構多いんだよ 。中にはお付き合いで保険に加入している場合や退職した従業員の 保険をそのままにしているようなケースもあるからね。」 友達「そういわれると、私自身友人に勧められて加入している生命保険が 5つもありますよ。しかし、どんな保障が付いているのか把握でき ていないですね。」 先輩「まずは保険の本来の目的について勉強しよう。」 ┌─本来の保険の目的は─────────────────────┐ │会社をとりまく様々なリスクに対して会社が継続的に活動できるよう│ │にリスクを回避(リスクヘッジ)する方法として、保険会社から保障│ │を買うということです。 │ └───────────────────────────────┘ 友達「その通りですね。しかし、全然考えていませんでした。」 先輩「いつの間にか加入の目的が財テク・節税・お付き合い等といった、 保険本来の目的とは程遠い方向へ進んでしまっている場合が多いと いう事なんだよ。」 友達「そうかもしれないですね。本来は会社の経営全般を把握した上で、 会社で加入する保険のすべてに対して費用対効果を考慮し、適正な 保障額を生命保険も損害保険も考えていくべきですよね。」 先輩「その通りだね。あらゆるリスクを検討し、さらにリスク度の大きい ものから保険に加入していくことが重要なんだよ。じゃあ、次に会 社のリスクについて勉強しよう。」 ┌─会社経営上のリスクとは───────────────────┐ │予想される会社経営上のリスクとしては次のものが考えられます。 │ │1財産損失リスク〜火災や地震等による物に関するリスク。 │ │2収入減少リスク〜自然災害や取引先の倒産等による収益に関するリ│ │ スク。 │ │3賠償責任リスク〜自動車事故や製造物責任等の第三者への賠償に関│ │ するリスク。 │ │4人的損失リスク〜業務上災害や病気等の人に関するリスク。 │ │5ビジネスリスク〜金融機関等の破綻や先行投資等の補償・信用に関│ │ するリスク。 │ └───────────────────────────────┘ 友達「なるほど。様々なリスクがありますね。しかし、このリスクを全て 保険でカバーすることは出来るのですか?」 先輩「残念ながら保険でリスクを全てカバーする事は出来ないね。保険で カバーできるものと会社の自助努力で解決していく問題とを区別し て最小のコストで最大の効果を上げるように保険加入をすることが 重要だね。じゃあ、次回はリスクをどのような保険でカバーしてい くかを勉強しよう。」
リスク管理は会社の体質強化には欠かせないものです。ほとんどの会社では何らかのリスクに対して様々な保険に加入しているはずです。しかし、加入している保険の内容を全て把握している経営者が少ない事も事実です。この機会に自社で加入している保険で本当に必要なリスクヘッジが出来ているかを再確認して下さい。
「ユビキタス」という言葉を知っていますか?「ユビキタス」はラテン語で、いたるところに存在(遍在)するという意味です。インターネット等の情報ネットワークに、いつでも、どこからでもアクセスできる環境を指し、「ユビキタス」が普及すると、場所にとらわれない働き方や娯楽が実現できるようになります。この「ユビキタス」がIT革命の理想となるわけですが、政府が実行しているIT施策もこの「ユビキタス」とは無関係ではありません。
今回は、政府が推進しているIT施策についてご説明していきます。
政府が進めるIT施策も実行段階へと入ってきました。平成14年度は「e-Japanプログラム」と題して以下の5つの基本方針を打ち出しています。
1.高速・超高速インターネットの普及推進
過疎地等、条件不利地域への高速インターネット普及、民間主導によるネットワーク形成推進の為の規制改革・制度整備。
2.教育の情報化・人材育成の強化
インターネット使用環境を学校等教育機関へ整備、人材の育成。
3.ネットワークコンテンツの充実
知的財産の保護、発信情報充実の促進、中小企業IT化への環境整備。
4.電子政府・電子自治体の着実な推進
平成15年までに、電子政府を実現し、電子自治体の構築を推進、平成14年中に基盤整備、個人認証システム整備、安全性の確保。
5.国際的な取組の強化
日本がアジア地域におけるインターネット網及びIT革命の中心的役割を担えるようにする。
政府のIT化は、これらの方針に従い着実に進行しています。次に現在この方針に従い実行されているサービスをご紹介します。
・公共工事の電子入札
国土交通省では、昨年10月より一部の公共工事等の入札に電子入札システムを導入しています。
・債権譲渡の登記申請
債権譲渡登記制度とは、法人が行う金銭債権譲渡等について登記することにより債権者以外の第三者(差押債権者、破産管財人等)に対して、債権譲渡の事実を主張するための法律要件を得ることができるというものです。この申請がインターネットを使い申請可能となっています。(専用のソフトウェアが必要となります。)
・電子文書への確定日付取得
電磁的記録(電子文書)に対して指定公証人による認証や確定日付を受けることができ、その証明等を受けた電子文書の保存や内容についての証明等のサービスを受けることが可能です。(事前に法務省の「商業登記制度に基礎を置く電子認証制度」に基づいた電子証明書を取得する必要があります。)
・登記情報の閲覧(インフォメーション2001年11月号参照)
・株主総会の招集通知と議決
4月施行の商法改正により株主総会の招集通知を電子メールで送付し、議決はホームページで投票しても良いとされました。高島屋が今回利用を予定しています。
・電子内容証明サービス
電子内容証明サービスとは現行の内容証明郵便を電子化し、インターネットを通じて24時間受け付け、郵便物として発送するサービスです。
上記の様なサービスの他にも電子申告に対する試作プログラムをホームページ上で公開し意見を求める等、次々と新たなサービスが実用化の段階に向かっています。また、これらの実用化により電子商取引についても各種の整備がされ、促進していくでしょう。しかし、これらのサービスを実用化するには事前に「サービスを利用する人が本人であるかどうかをどの様に確認するか」や「政府の保有情報が紙を原本としていることから電磁的記録を原本とするよう法律を変更する」等、方法や制度の確立が急務となっています。様々な制度改正がなされる中、政府のIT改革に対する制度改正にも目を向ける必要がありそうです。(詳しい政府のIT改革につきましては、http://www1.kantei.go.jp/jp/it/をご覧下さい。) <
┌─────────────────────────────────┐ │ 10日 本年4月分源泉所得税・住民税の納付 │ │ 15日 特別農業所得者の承認申請 │ │ 31日 本年3月決算法人の法人税等確定申告 │ │ 本年3月決算法人の消費税確定申告 │ │ 本年9月決算法人の法人税等中間申告 │ │ <前年度の消費税額が年間48万円超400万円以下の場合>│ │ 本年9月決算法人の消費税中間申告 │ │ <前年度の消費税額が年間400万円超の場合> │ │ 本年12月決算法人の消費税中間申告(第1回分) │ │ 本年9月決算法人の消費税中間申告(第2回分) │ │ 本年6月決算法人の消費税中間申告(第3回分) │ │ 個人事業者の消費税中間申告(第1回分) │ │ 土地保有に係る特別土地保有税の申告納付 │ │ 確定申告税額の延納届出による徴収猶予税額の納付 │ │ 住民税の特別徴収税額の通知 │ │ 自動車税の納付(条例による) │ └─────────────────────────────────┘